小口径管推進工法とは
「小口径管推進工法」について
日本国内では、市街地での「パイプライン敷設工事」は
既設埋設物
架空線
交通量などの増加
隣接構造物
近隣住民への配慮
上記のような現場環境条件が年々厳しくなっていることから、非開削工法が多く利用されるようになってきています。そのため、上記の条件を満たす設計、施工が求められています。
「小口径管推進工法の開発」
1980年から推進工法の開発を進め、「スピーダー」という機種名で極小径管の推進機を制作してきました。
狭い占有面積を小型軽量で容易に使用できる機械を目標に開発し、現在に至っています。
代表機種「SR-50s」は「仮管併用二行程低耐荷力方式」を採用。敷設用推進管(φ200〜φ 500)を許容耐荷力以下で推進を行う機種で、発進、到達立坑を出来る限り縮小、道路占有面積 を減少させ、幅広い土質対応と高精度施工のできる推進を目標に開発された小口径管推進機です。
「スピーダー」システムの構造と特徴
水平ボーリング技術を応用した超小型の小口径管推進機で、回転圧入、オーガー掘削、水圧の3機能から、高精度な長距離推進が可能。超軟弱地盤から礫混じりの硬質地盤まで適応できる仮管併用二行程方式の推進システムです。
システムの主要設備
●推進機本体
発進立坑内に設置され、仮管、スクリュー、ケーシングなどに油圧力にて、推力、回転力、水圧を送ることができる機械部。
●油圧発生装置
立坑上に設置され、発動発電又は電源を結合し、油圧を発生する動力源。油圧ホースにて本体に油圧力を供給。
●水圧発生装置
立坑上に設置され、水圧ホースにより本体と結合し、本体主軸部を通し、掘削ヘッド注水部に水圧 を送る装置。
施工方式「仮管併用二行程方式」
当工法は「確実性」と「高精度施工」を重視して、仮管併用二行程方式を基本としています。
第一行程目(リード管推進)
リード管推進先導体(スピーダーヘッド)により、水圧アンバランス方式にて仮管(リード管)推進を行います。位置検出方式は、先導体(スピーダーヘッド)最前部に装着された高輝度発光ダイオードを推進機後方に据え付けたトランシットにて目視確認しながら読みとる方式。推進方向は360°、任意の方向に容易に修正が可能です。
最大60m(SR-50sの場合)推進して、±3mmという高精度施工を実現しています。
第二行程目(埋設管推進)
埋設管推進貫通した、仮管(リード管)の後方に先頭カッターとスクリューロッドケーシング及び敷設用推進管(L=1000mm/SR-50sの場合)を取り付けて、仮管(リード管)を到達坑へ押し出しながら掘削ヘッドでオーガ掘削を行い、スクリュー排土にて、土砂を発進立坑に排土しながら敷設します。
工法の特徴
道路占有面積及び立坑が小さい
搬入スピーダー各機種は非常に軽量コンパクトに設計されているため、小さなスペースで作業でき、推進機及び必要システム一式はクレーン付4tトラック一台で搬入搬出が可能です。
道路占有面積は推進方向に向かって縦12m、横2.5mあれば推進システム一式が設置でき、交通を阻害することが少なく、周辺環境への影響が減少できます。
幅広い土質対応
a.超軟弱地盤対策
先導体の形状が斜切ヘッドになっており、圧入により方向修正をおこなうため、周辺地盤を 強化することができ、さらに先導体重量10kg、仮管重量5kgと軽量で、土の見かけの比重とほぼ同一であるため、N値が0〜1程度の自沈するような超軟弱地盤でも十分に対応できる構造です。
<幅広い土質対応>
N値 0〜30
b.硬質土地盤対策
N値が30以上と高く、通常の仮管推進では圧入困難である硬質土推進に対しては、仮管内にインナーバルブを挿入し、二重管にすることにより、推進部後部より水圧発生装置にて30kg/cm2以上の水圧をリード管内に送水することができます。先導体先端部分より噴射可能なため、推進路線上の土質を水圧にてゆるめることができ、硬質土施工が可能です。
c.埋設管推進時
オーガー掘削方式のため、幅広い土質に対応。N値0〜1程度の超軟弱地盤の泥炭層からN値30程度の硬質地盤まで対応でき、平均日進量も10〜15mのスピード。また、掘削ヘッドの使い分けにより、透水係数10-3cm/sec以下の滞水砂層から、礫混入率が30%以下で、最大礫径は埋設管内径1/3(インナーチューブ使用時は1/4)までの礫層も推進でき、松坑、流木等の削坑も可能です。
低耐荷力推進
掘削ヘッドの推進方向は、推進管内のスクリュー軸部で推進力を伝達させ、推進管本体にはわずかな管外周摩擦抵抗のみを負担させることになりますが、掘削ヘッドのオーバーカット部分から滑材注入をおこない、管外周部に滑材によるソフトゾーンを形成することにより、管にかかる摩擦抵抗を軽減させるとともに、管外周を保護するため、管外面には有害なキズはつかず、施工終了後の耐久性にも優れています。
さらに推進管に作用している推進力は、荷重計測装置により、常にチェックができるため、推進管の許容耐荷力内で推進でき、施工に対する安全性も保証しています。
推進管
スピーダー各機種の使用する推進管は次の通りです。
・SR-18S 塩ビ管・鋼管 φ150~350×L=800㎜
・SR-50S 塩ビ管・鋼管 φ350~500×L=1,000㎜
ヒューム管・レジンコン管 φ200~300×L=1,000㎜
・Sモール1500 塩ビ管・鋼管 φ150~300×L=800㎜
塩ビ管・鋼管 φ350×L=1,000㎜
ヒューム管・レジンコン管 φ200・250×L=1,000㎜
・SR-30FT 塩ビ管・鋼管 φ150~300×L=800㎜
塩ビ管・鋼管 φ150~300×L=1,000㎜